・声優とアニメーション業界とコミックマーケットの関係性
これは、どうした事でしょう。CさんとDさんは決して声優ではないのですが、声優ジャンルに配置され、私の右隣のスペースだと書いてあるではありませんか。 そもそも、声優ではない声優業界の人が声優二次創作ジャンルで、自分達が出ている自主制作のDVDを売っているのは、配置が間違っているのではないのか。
もう一度言いますが、なぜ本人・事務所・関係者にバレてはいけないかというと、タレントの勝手な二次創作というのは肖像権・パブリシティ権の侵害として、本人や事務所側に訴えられたら、私達が裁判で負ける罪だからです。 ここでまたやっかいなのですが、Cさんの相方であるDさんは人気アニラジパーソナリティであり、誰にでも笑いを提供できるという素晴らしい才能の持ち主だという事です。私も某公共ラジオ放送局のネットラジオの時からのリスナーであり、ファンです。彼らのユニットのイベントにも一度足を運びましたし、勢いだけで握手もさせて頂きました。私の手は気持ち悪いほど震えていました。
その実、とある女性声優がラジオのゲストで来た時に、”こないだ○○さん(その女性声優ゲスト)の同人誌を買った”と、公共ラジオの電波上で数度、本人を目の前にして口にしています。 Dさんは決して悪気があるわけではなく、むしろ同人に理解があるからこそ知識として口にしてしまっているのです。ですがこのたった一言で、本人(目の前)・関係者・事務所・そしてそのラジオが聴ける全国各地に”声優の同人誌”の存在が知れ渡っている事になります。 CさんもDさんも、もともとのボキャブラリーの多さの上に同人について理解のある方達で、お話出来たらきっととても楽しい事でしょう。横のスペースがそんなCさんとDさんである事がとても嬉しいのに、私はその日”声優のAさんとBさんのナマモノ同人誌”を発行する予定です。何度でも言いますが、肖像権、パブリシティ権を侵害している私は、AさんとBさんと同じ業界の関係者であるCさんとDさんの横のスペースにいてはいけません。 追記しておきますがDさんは、私がナマモノ同人誌で描いているAさんがパーソナリティを務めている生放送ラジオ番組の、前の時間枠の生放送ラジオのパーソナリティです。つまりDさんとAさんは同じ日に同じ場所にいる人達であり、実際仲の良い仕事仲間という間柄です。Dさんがもし公共の電波上で言わなかったとしても、Dさんが何気ない話題としてAさんに”Aさんのナマモノ同人誌”について話してしまう可能性が非常に高いです。 もしそこに何の罪もなかったとしても、私は”Aさんの苦笑の種”にはなりたくないと思っています。 私はDさんの出ているアニラジもよく聞いているので、その状況を知っていました。だからこそ、不安でなりませんでした。私は、本を出すに至らないまでも本を出せなかったお詫びのペーパーをスペースで配る事は出来ないだろうか、と同ジャンルの皆さんに相談したのですが、最終的に出た結果は「そのイベントには出てはいけない」でした。私はそのイベントに欠席しました。 そして確かに、その判断はとても的確なものでした。
公共のラジオ番組じゃないだけ、まだましかなぁ、と変な安心感を覚えた私もまた、おかしな気持ちでした。 いや違います。安心している場合ではありません。バレています。関係者にバレています。私は一体どうしたら良いんでしょうか。 ここで私は、ずっと思っていた疑問を提示します。
私がどう判断して良いのか分からないのは、二次創作の場で”オフィシャル”とされているものが同じ場所にあるからです。 声優ナマモノジャンルでサークル参加する場合、同じ日の同じ場所に本人がいる可能性があります。 事情はまた少し違いますが、このような例もあります。
これはきっとその現場だけではなく、全体的に”個人としての提供者側”に浸透している事でしょう。 私はこの内容を初めて聞いた時笑いましたが、今ではこれにどう反応して良いのか、分からないんです。 国内・国外のメディアが新しい市場としてコミケを取り上げてテレビ報道する時代です。[電車男]の流行から、今一番日本全国から注目されている部分だと思います。もう二次創作の同人誌の存在を知らない人の方が少ないんじゃないでしょうか。 他にもきっと漫画・アニメ・ゲーム系のあらゆる”提供者”が流行や人の反応を見るためにコミケに来ていることでしょう。それは同人誌の元ネタ提供者側の人間もまた全体的に同人誌に理解があるからです。 同人誌への元ネタ提供者が同人誌の消費者だという事も多いでしょう。もともと消費者と提供者の関係は状況によっていくらでも変化します。もともと二次創作はこっそりと行われてきたものだそうですが、地道な活動と近年における急激なブームから”そのラインがぼやけたまま”一気に一般化したんだと思います。ここはまだ、アンダーグラウンドを引きずった市場です。 既にコミックマーケットとアニメーション会社、そして漫画・ゲーム業界には密接な関係はある事でしょう。確かに、需要と供給からそのような図は確立されています。しかし企業としての提供者は二次創作を一体どのように受け止めているのでしょうか。 二次創作とは基本的に著作権の侵害として扱われます。既に存在する作品やキャラクターを勝手に使う事への禁止条例です。 しかし実際、著作権とは「その著作権を持っている者が承諾すればそれを自由にする事が許される」のです。 著作権への対応が業界全体的に均一であれば私の中でこの疑問は生まれなかったかもしれません。現状は大体が「認めている」とまでは言わないまでも「二次創作を放任している」状況だと思います。しかし逆に、公に禁止している企業も実際あります。具体的に言うとアニメでいうならサンライズ、漫画でいうなら講談社が「二次創作の一切の禁止」を掲げています。 しかし実際は二次創作を禁止してるはずの会社の作品が最盛ジャンルであったり、その作品の著作権を持っているわけではない出版社が他社の作品の同人誌アンソロジーを出版して儲けていたりします。 壮大に違反している筈なのに摘発数は少ない。それは一体何故か。 同人界で流行れば、公式が売れる。それが現状だからです。 消費者と提供者は持ちつ持たれつの関係、という事です。 これが”声優ナマモノジャンル”が”他の芸能ナマモノ同人”と違うところであり、最大の麻痺部分であり、グレーゾーンだと思います。 他の芸能系ナマモノジャンルは、そのタレント自身が同人誌から遠いところにいるからこそ、自分達の同人誌の存在を知った時、ショックが大きい事でしょう。しかし、声優は既に同人誌、コミックマーケット、そして自分達のいる業界への関連性を知っています。 ここで「声優はキャラクターと同一ではない」といった、その”大前提”が少し揺らぎます。声優は決してキャラクターと同一ではありませんが、そのマーケット上では声優はキャラクター越しに存在するからです。 アニメのキャラクターに人気が出ると、その役者にも人気が出るものです。 その逆もまた然りで 人気の声優を起用する事で、そのアニメーション作品に人気を作り出す事も出来ます。 ここで”声優ナマモノ”という言葉は、同人という言葉の前ではどうやら”三次元二次創作”と”二次元二次創作”の区別が自然と薄れ、丁度真ん中辺りと認識されてしまうのではないかと私は考えています。
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