8.櫻井さんと鈴村さんの”実際仲の良い友人関係”が生む特殊な問題点


私はカップリングばかりを書いてきたわけではありません。櫻井さんと鈴村さんが楽しそうであれば良かったので基本的にはノーマルやギャグを描いてきました。しかし、櫻井さんと鈴村さんを描いているだけで「BL」として見られてしまうのが当たり前になっているのも、怖い現状だと途中から思っていました。勿論言い逃れ出来ないようなSSも漫画も書いたことがあるので言い訳はしません。ですが、


では一体何故


「実在する30代男性同士のBL設定捏造」が低いハードルであり、こうも簡単に乗り越えてこられるものなのか。


それはボーイズラブの仕事が一般化されているからですよね。


「声」や「キャラ越し」に想像出来るからですよね。


そして流行だからと煽るような業界の売り方や、彼らの”ファンサービス的な”行動。


全てが揃った時、私は積もり積もった違和感を”心外”と呼びました。そうじゃない。私はカップリングじゃなくても、一人一人でも、十分二人が好きだから、と敢えて口に出さないと伝わらないんじゃないかと思うような現状に。彼らは実際の、仲の良い大事な友人、という関係だけで問題ないのに、何故”ファンサービスを行うのか”。


櫻井さんと鈴村さんが他の声優と違って特殊なところは、二人揃ってメディア上いると”コンビ的、もしくはカップリング的”な扱いをされる事を問題なくクリアしてしまう事です。それ程に実際仲が良い、という事です。

個人でいるときにそのような扱いをされたら本人も困ると思いますが、二人揃うと「これは”そういう仕事だ”」と認識するような節があると思います。(本当はそういう売り方をしようとする業界がまた”麻痺してる”と思うんですが、この話は後ほど。)


この状況は最近の、ボーイズラブに慣れた世代の声優に稀に見かける行動です。


他に私が知っているのはP・K・Oです。

彼らの場合はまた少し事情が違い、鳥海さんが鈴木千尋さんをお姫様だっこするような”ファンサービス”的なアクションをしてもサエキさんが鋭いツッコミを入れる事で”公式に”ギャグになっていました。サエキさんがいるいないでは、違いは大きいと思います。


櫻井さんと鈴村さんの場合、大体においてツッコミがいません。
いてもぬるかったりヒいていたり、ギャグになりきれなかったり、普通に流されてしまったり。
なので私達が個人的に「何やってんだ!」と思わなければいけません。
そしてなにより実際に仲の良い彼らにとって、だんだんと確信だけではなく”自然と”であったり”ノリ”であったり、”不可抗力”でそういう状況に陥ってしまう事も、稀にあったと思っています。


どうやらこれが同人的な思想に移行する最大のポイントだとなんじゃないかと思っています。何がどこまで”本当”で”冗談”なのかの境目を見極められないと、本気で二人の関係性を思い違ってしまうのではないかと予想しています。誤解するに至らないとしても、現実以上の妄想が先走って瞬間的に過剰な興奮させてしまう事は確実です。これでは若年層ファンが困惑しても文句は言えません。そしてそういう想像や創作を、責任や悪気無く行ってしまうのが若年層ではないでしょうか。追記すべきは、お二人には若年層のファンが多い、という事実です。


彼らを「サクスズ」として想像し、形に残して公開した時点で責任は私にあります。
彼ら自身も実際に自分達がそう描かれていると知ったら、良い思いはしないでしょう。


しかしそういうファン思考が嫌なら、彼らも態度と言うか、姿勢を改めて頂けると良いな、とは少し思っています。たまに「煽られている」と感じるほどファンサービス感が漂う時もありました。それが台本にそうしろと書いてあるのか、自分達のアドリブなのかは分かりません。ですが、アドリブだとしたらそれは「ファンに答えてる」のではなく「自分達の行動から生まれている」という認識も追加して欲しいと、思っています。「そういう売り方」なんだとしたら、もう少し上手にやって欲しい、というのも本音です。


これに関連して、私はとあるアニメ系の女性向け二次創作サイトの日記で、とても的確な名言を読んだ事があるので、引用させて頂きます。

「同人は公式でやるな」

完璧に消費者側の意見ですが、本当はこれが一番大事な事なんじゃないでしょうか。
ここでいう「同人」とはボーイズラブの事を指します。消費者にこびるスタンスというのは、例え売れたとしてもそういう物にしかならない。それは誰より私達が肌で知っているんじゃないでしょうか。
”彼ら自身”には、そうあって欲しくないんです。
これは決して声優業界だけではなく、生活の中にある色々なものに対してもなんですが…。


決して、櫻井さんと鈴村さんの仲の良さに対して文句を言っているわけじゃないんです。仲が良いことは本当に良い事です。私はお二人の信頼関係に純粋に憧れています。


私も私なりに解釈しているつもりなんですが、メディア上の鈴村さんは「自分に厳しく、ファンに優しすぎる」んだと思います。ファンの為にしてくれている事だとは痛いほど分かっているつもりなのですが、今はまた事情が違うような気がします。

必ずしもそのようなサービスを求めてファンがついていくわけでは無いと思います。多くの作品で様々なキャラクターを演じることでファンが増えていくものだと、信じています。



なんだかんだ言いましたが、決してナマモノの絵を描いた私への擁護ではありません。

ですが、先ほども言いましたがナマモノ同人が決して悪いものだとも私は言い切りません。


大事なのは、相手への意識と尊重と、節度だと思っているんです。



余談になりますが、私は鈴村さんと櫻井さんの事をBLから知ったわけでも、ハマったわけではありません。勿論聞かなかったといったら嘘になりますし、むしろ腐る程聞きました。ですが私がお二人を好きだと確信したのはラジオからです。今現在、紐解けたような笑い声を聞く事の出来るラジオ番組。チェリーベルです。私はあのラジオを聴き続けて、途中から(この人達は本当に仲が良いんだ)と声質の違いに気づく事が出来ました。番組自体にも関係者にも、本人達が本当に慣れてきた頃だと思います。なんとなく聞いていたラジオが突然、私にはものすごく優しい空気に見えました。なんとなく冗談から入ったものがちょっと本気に、大事なもののランクに上がった瞬間でした。私はあの場所にいる二人と全体の空気が好きだと心から思いました。笑い声ばかりが響きすぎて何を話しているのかさえ分からないくらい楽しそうな番組。勿論それもお仕事ですが、自由度の高さではピカイチだと思います。それを聴いているのが、今でもとても心地良いです。これからも聴き続けると思います。スマイルギャングに負けないくらい長く続いてくれるよう、願っています。”彼らが楽しい時間”であるよう、心から。